産婦人科は、出産や不妊治療のほか避妊に関する問題を抱える患者も訪れるので、患者の不安を軽減するメンタルケアが欠かせません。初めての出産には流産や死産に対して多くの不安が付きまとうし、不妊治療は成功の確率が個人によって大きく異なります。また、子宮ガンや乳ガンといった深刻な疾病を抱える患者のケアも行うため、看護師の役割として心理的サポートの比重が大きいのです。したがって、コミュニケーション能力が高く、きめ細やかな気遣いに長けた看護師が産婦人科に向いているでしょう。
患者の微細な心の変化にも対応できるデリカシーも欠かせません。こうした看護師に対して患者は全幅の信頼を寄せて看護師の指示に素直に従ってくれるし、トラブルを未然に防げます。また、出産経験を持つ看護師も、産婦人科で活躍できるでしょう。我が子の例を挙げながら患者にオリエンテーションを行うと妊婦に説得力があります。特に、帝王切開や難産の経験がある看護師は、妊婦の気持ちに寄り添って看護ケアを施せます。患者も、出産経験を持つ看護師には信頼を寄せやすいのです。何よりも、新生児を取り上げる喜びを妊婦と共有できる共感力が大切です。新生児を授かる喜びを仕事の動機にできる看護師が、最も産婦人科に適していると言っても過言ではありません。産婦人科は新しい生命の誕生という神聖な領域を扱うため、幼い命に対する畏敬の念を抱く看護師が活躍すべき診療科といえるでしょう。